ア行
赤ランプ | 到達順位の通り勝ち馬が確定したとき(レースが確定するともいう)に、着順掲示板に確定を表す「確」の文字とともに点灯する赤いランプのこと。一方、競走中に他馬の進路を妨害するなどの行為が発生した可能性があると裁決委員が認めたときには、着順掲示板に審議を表す「審」の文字とともに青いランプが点灯します。 |
アオる | スタートの瞬間に馬がゲート内で立ち上がり、結果として出遅れてしまうこと。 |
上がり | レースや調教で終盤の事を指します。通常は、ゴールから逆算した距離で多くは3ハロンや4ハロンをいいます。「終い」との呼称もありますが、すごろくでいう「あがり」と同じ意味です。ちなみに最初を「テン」、中盤を「なか」と呼びます。そして「あがり3ハロン」といえばゴールから逆算して約600m地点のこと。「上がりがかかる」なら、レース終盤のラップが遅いことで、反対にラップが速ければ「上がりが速い」と表現されます。さらに「上がりだけの競馬」と言えばレースがゆったり流れ、最後の瞬発力の差で決着がつき、あまりスタミナが問われなかったレースのことを指します。 |
上がり馬 | 調子が上向いている馬のこと。それまで下級条件で低迷していたのに、急激に調子を上げたり実力を身につけて短期間の内に数段上の条件に勝ち上がった馬のことをいいます。よく使われるのが「夏の上がり馬」という表現で、夏の間に急激な成長を見せた若馬(三歳馬)をそう呼びます。 |
脚色 [あしいろ] |
馬が走る勢いを説明する言葉。余力十分の時には「脚色が良い」、余力がなくなってバテ気味の時は「脚色いっぱい」といった使い方をします。ほかにも「脚をためる」(レース終盤や勝負どころまで我慢して余力を残しておくこと)、「脚を余す」(余力は残っているのに、しかけのタイミングが遅れたために負けること)などの表現もあります。 |
アラアラ | レース又は調教で、余力があるように見えたにもかかわらず、しかけると意外に伸びなかった状態をいいます。 |
息を入れる | 道中で一旦スピードを落として、ラストスパートの為のスタミナを温存すること。特に中・長距離戦では途中息を入れないと、最後の直線でバテる事になるので重要な要素になります。 |
いったいった | レースが先行馬有利の展開で、先行した馬同士で決着がつくこと。スローペースや、開幕週(開催場所が変わって最初の週)で馬場状態が良い時に起こりやすくなります。 |
馬っ気 [うまっけ] |
牡馬の発情のこと。「馬っ気を出す」といった使い方をします。一般的に馬っ気を出した馬は集中力を欠き、能力を出し切れないことが多くなります。ちなみに牝馬の発情は「フケ」と呼ばれます。 |
抑える | レース中行きたがる馬を騎手がセーブすること。手綱を通し、ハミのコントロールによって行います。馬の機嫌をを損ねると逆に引っかかってコントロールできなくなります。 |
オープン馬 | 現在の競走体系は、競走馬が1勝するごとに収得賞金が増え、クラスが上がる仕組みになっています。その中でオープン馬とは最高のクラスに属する馬のことです。以下、条件クラスに属する馬を「条件馬」、1勝もあげられない馬を「未勝利馬」といいます。 |
カ行
返し馬 | パドックから馬場へ入場してきた馬が行う足馴らしのことで、レース前のウォーミングアップになります。騎手は返し馬で、ゲートに入ったときに馬がピークの状態になるよう微調整を行います。 |
かかる | 騎手が抑えようとしているのに馬が前へ前へと行きたがる状態。「引っかかる」又は「折り合いがつかない」ともいいます。この場合、余計なエネルギーを消耗することとなり、最後バテてしまう事も少なくないです。ただし、力のある馬の場合、その勢いのまま勝ってしまう事もあります。 |
格上げ | 馬がレースに勝った後、上のクラスに昇級したときこれを「格上げ」といいます。 |
仮柵 [かりさく] |
正式には移動柵といいます。芝馬場の内側は馬群が密集する為傷みやすいので、内側の柵を移動することで馬場を保護し常に良好なコンディションでレースが行われるように工夫されています。柵を移動させる場所によりいくつかのコースを設定してそのコースを使い分けるのが通例です。移動の方法によっては「仮柵」で保護されていた内側の馬場だけ状態がよくなってしまう事もあり(これをグリーンベルトと呼びます)この場合、状態の良い内側の芝を走れた馬が有利になります。 |
カンカン | 「カンカン」とは負担重量のことで、「カンカン場」は負担重量を測る検量室のことをいいます。レースに出場する騎手は、ここで鞍・鉛などを持って定められた重量かどうかを計量します。ちなみに「カンカン」とは「貫(重量の単位)を看る」つまり「貫看(かんかん)」からきています。また、「カンカン泣き」とは馬が重い負担重量に苦しむこと。負担重量に敏感で、重い重量を苦にすることを「カンカン泣きする」というように使います。 |
カンパイ | 「カンバイ」ともいいます。フライングした馬がいるなど、発走委員が正しい発走でないと認めた場合に発走をやり直すこと。その場合には、スターティングゲートから200メートル地点にいる係員が白旗を振り、騎手に発走のやり直しを伝えます。語源は近代競馬発祥の地、根岸競馬場で、外国人スターターがフライングした馬に「カムバック(戻れ!)」と叫んだのを聞き違えたのが由来だと言われています。 |
口取り | レースを勝った馬がオーナーや関係者らとともにウイナーズサークルで行う記念撮影のこと。また、馬の口を取って整馬係や厩務員がゲート内に誘導したり、暴れそうな馬を抑えることをいう場合もあります。 |
経済コース | 馬場の最内、つまり最短距離をとるコースをいいます。内ラチから1メートルのところを計測した数値がそのレースでの正規の距離となっており、最内と大外を回るのでは実際に走る距離にはかなりの差が生じてしまいます。そのため「経済コース」を走れる逃げ馬には距離損がないというアドバンテージがあります。 |
検量 | 出走馬ごとに定められた負担重量を騎手がちゃんと背負っているかをチェックする為に「検量」が行われます。発走70分前に行う「前検量」とレース終了後に7位までに入線した騎手および裁決委員が指定した騎手について行われる「後検量」の二つがあり、この計量での差が1キロ以上あった場合には失格となります。ただし、降雨の中でのレースで服に水分が吸収されたなど、特別な理由のあった場合は除かれます。 |
減量騎手 | 免許を取得してから3年未満で、通算勝利数が100勝以下の騎手のこと。「見習騎手」とも呼ばれる彼らには負担重量の軽減という恩恵が与えられます。これは、毎年3月1日から新しく免許を得てデビューした騎手が、キャリアもあり技術的にも優る先輩騎手に対抗してより多くの出場機会を得られるようにする為の優遇措置です。ただしこの特典は、重賞レース、特別レースに騎乗する場合は与えられません。 |
サ行
ササる | レースや調教中に突然、内へ逃げたり斜行することをいいます。ムチをいれたときに起こる場合が多く、騎手が追いづらい為勝負にならなかったり、他馬に迷惑をかけてしまう場合もあります。また「もたれる」も「ささる」と同様の意味。反対に外に斜行することを「ふくれる」といいます。一方、「よれる」は余力がない時などによろけるように内又は外に斜行することです。 |
仕掛ける | レース中、勝負どころと判断した騎手が、気合を入れて(馬に合図して)スパートすること。「仕掛け早」とは、その騎手の仕掛けのタイミングが早すぎて、さらに後ろから来た馬に差されてしまったときなどに使います。 |
条件戦 | 収得賞金による出走条件がつけられるレースをいいます。現在では500万下、1000万下、1600万下の3つの条件があります。つまり新馬戦、未勝利戦(未出走戦)、オープン戦以外のレースが条件戦と呼ばれます。 |
進上金 [しんじょうきん] |
賞金を得た馬主が、その中から関係者に支払う金のこと。調教師には賞金の10%、騎手と厩務員にはそれぞれ5%が支払われます。ただし、障害競走の騎手には7%支払われます。 |
ズブい | 騎乗者の指示に対して、馬の反応が鈍いこと。エンジンのかかりが遅い馬で、騎手が仕掛けどおしでないと追走に苦労する様子などをいいます。年齢を重ねてくるにつれて「ズブさ」が増してくる馬も多く、その場合、得意距離が長めにシフトすることもあります。 |
ソラを使う | 馬の癖のひとつで、レースや調教中にふとしたことに気をとられ、走ることに集中しなくなること。「この馬は1頭になるとソラを使う」などといいます。 |
タ行
タイムオーバー | 平地競走に出走した馬が1着馬から遅れること、芝で4秒、ダートで5秒(秋の3歳未勝利戦では芝で3秒、ダートで4秒)を超えて入線することを「タイムオーバー」といいます。その場合、原則として1ヶ月の出走停止になります。ただし、重賞競走や国際招待レース、競争中に他馬から大きく不利を受けてしまったとき、レコードタイムが記録されたレースなどでは適用されません。また、障害競走も飛越の際に一度バランスを崩すだけで大きく遅れをとってしまうことがある為、タイムオーバー制度から除外されています。 |
単騎逃げ | 後続を引き離し1頭で逃げること。「独り旅」ともいいます。レース展開的にみて非常に有利で、人気薄の馬でも好走する場合があります。 |
定量戦 | 馬の年齢と性別だけを基準に、負担重量が決められているレース。JRAのG1レースはすべてこれにあたります。 |
デッパ | 発馬のこと。ゲートの出が悪い馬を「デッパが悪い」などといいます。 |
出ムチ | 最初のダッシュが鈍い馬や、先頭を取りたいときなどに気合を入れる為にスタート直後に使うムチのこと。「出ムチをくれる」などといいます。 |
テン | 最初、真っ先の意味に用います。「テンの3ハロン」といえば、スタート後約600メートルのこと。「テン乗り」といえば、その騎手がはじめてその馬に騎乗することをいいます。また、「テンに置かれる」とは、スタートで取り残されるという意味になります。 |
ナ行
二走ボケ | 休養明け初戦を好走して2戦目で人気になった馬が、そのレースで凡走してしまうこと。久々のレースで好走した反動が出るのか、このようなケースは割りと頻繁に起きます。特に休養後急仕上げで出走した馬や、2戦目までのレース間隔が詰まっていた馬に多くなります。 |
二の脚 [にのあし] |
先行馬がバテることなく直線でさらに伸び、追いついてきた馬の追撃を振り切って持ちこたえることを「二の脚を使う」といいます。また、スタートしてしばらくしてから加速することをいう場合もあります。 |
ハ行
パドック | 別名「下見所」。レースに出走する馬が厩務員に引かれてここを周回し、その様子を観客が観察します。体型から距離適性を判断したり、体調や仕上がり具合をチェックすることができます。本馬場に向かう直前には騎手がまたがり、ひと回りします。また、牧場の小さな放牧場のことも「パドック」といいます。 |
ハナ | 先頭のこと。語源は「端」だといわれています。「ハナを切る」、「ハナを叩く」とは、先頭に立って逃げることをいいます。「ハナを奪えない」は、逃げると思われていた馬、もしくは逃げるつもりだった馬が、他の馬に先を越されたり、出遅れたりして先頭に立てなかった場合などに使われます。また、競走の最僅少着差のことも「ハナ」、「ハナ差」といいます。 |
馬鹿つく [ばかつく] |
気性の悪さ、悪癖を出すこと。レース中に膠着(固まって動かなくなる)したり、コーナーで大きく斜行したときなどに使います。 |
ハロン | 和製英語で正しくは「ファロン(furlong)」。明治初期に英国の計量法が使われていた名残で、1ハロンは1マイルの8分の1で約200メートルのこと。競馬場やトレーニングセンターのコースには、ゴールから逆算して200メートルごとに「ハロン棒」が立てられ、目安になっています。 |
ハンデ戦 | 出走馬がすべてゴール前で横一線に並ぶよう、ハンデキャッパーが各馬の能力や状態、適性に応じて負担重量を決めてどの馬も均等に勝つチャンスを与えようとするレースです。 |
平場戦 [ひらばせん] |
一般の条件戦。特別戦以外のレースをいいます。ちなみに「特別戦」とはレース名が付けられ、特別登録料を払わないと出走できないレースのことで、同じクラスの「平場戦」より賞金が高く、出走するメンバーの質も「平場戦」より高い場合が多いです。 |
服色 [ふくしょく] |
レースの時に騎手が着用する服(俗に「勝負服」と呼ばれます)の色や模様を示し、その色や模様は馬主によって決まっています。ただし、地方競馬の騎手は自分のデザインした「服色」の勝負服を着用しています。 |
別定戦 [べっていせん] |
基礎重量を決めて、それぞれの馬の過去の収得賞金額や勝利度数、あるいは特定競走の勝利などによって斤量を加増するレース。正式には「別定重量戦」。また、馬の年齢や性別によって出走全馬に一定の重量を決めている競走は、特に「定量戦」と呼ばれています。 |
ペースメーカー | 先行してレースの主導権を握り、自分のペースで競馬を進めていく馬のこと。ただし本来の英語の意味は、同厩舎や同馬主の有力馬に有利な展開を作り出す為の援護役として出走する馬のことを指します。日本ではほとんどありませんが、欧米の大レースでは特定の馬主や厩舎が有力馬とともに「ペースメーカー」を出走させることが頻繁にあります。 |
放馬 [ほうば] |
返し馬のときなどに、極度に興奮した馬が騎手を振り落として勝手に逸走してしまうこと。ときには馬場を走り回ってなかなか捕まらないこともあり、そんな場合は体力の消耗が著しく、能力を発揮できない可能性が高い為競走から除外されることもあります。 |
ポケット | 競馬場のコーナーのポケット状の地点のこと。天皇賞・秋が行われる東京競馬場の芝2000メートルの発走地点が代表例です。また、多頭数のレースで前後左右を他馬に囲まれ、出るに出られない状態になることを「ポケットに入ってしまう」と表現することもあります。 |
ホームストレッチ | メインスタンド側の最後の直線のこと。反対に向正面の直線を「バックストレッチ」といいます。 |
マ行
見せムチ | 通常、ムチは馬を叩いて走る気を出させる為に使いますが、気性が悪かったり、怖がりな馬はムチで叩くと逆効果になる場合があります。そうした馬に対しては顔の横でムチをちらつかせることによって叩くのと同様の効果を生み、馬の走る気が発揮されることがあります。これを「見せムチ」といいます。 |
持ちタイム | 出走するレースと同じ距離で、その馬がこれまでに記録した最も速いタイムのことをいいます。競馬専門紙やスポーツ紙の競馬欄には「持ちタイム」とともにそれを記録した競馬場や馬場状態、着順などが表記されています。タイムはその時のペースやメンバーなどによって大きく左右されますが、基準として馬券検討の参考にはなります。 |
持ったまま | レースや調教で騎手が追うことなく、抑えたままの状態をいいます。手ごたえがよく「持ったまま」で交わしていく(追い抜く)などといった使い方をします。 |
物見する [ものみする] |
不意になにかの動きや音に驚いて騒いだり、止まってしまったり、横に飛んだりする動作や癖のことをいいます。 |
揉まれる [もまれる] |
多頭数のレースで馬群の中に入ってしまい、思うようなレースができなくなってしまうこと。特に臆病な馬の場合は、周囲の馬に気を使って全くレースにならないこともあります。このように「揉まれ弱い」馬は、伸び伸びと走れる外枠に入ると好走しやすい傾向にあります。 |
ヤ行
屋根 [やね] |
騎手のこと。馬を家に見立て、その上にあるものという意味合いから生まれた言葉と思われます。「屋根が替わる」というと騎手の乗り替わりを指します。その他、騎手についての俗称には「鞍上」「天井」「乗り役」などの言葉があります。 |
予後不良 [よごふりょう] |
一般的には病後の経過が思わしくないことを言いますが、競馬用語としては、レースや調教で馬に手の施しようがない故障が発生したことを示します。回復の望みがないと診断された場合、馬を苦しめない為、即座に獣医師によって安楽死の処分がとられることになります。 |
ラ行
落鉄 [らくてつ] |
蹄鉄が外れ、落ちること。蹄鉄は5・6本の釘で打ちつけてありますが、蹄が弱っていたり、自分で自分の蹄を踏んでしまって外れてしまう場合があります。いわば競走馬のスパイクなので、蹄鉄を付けないで走るとかなりスピードが落ちるといわれています。 |
ラチ | コースの周囲にある柵のこと。内側の柵を「内ラチ」、外側の柵を「外ラチ」といいます。「ラチを頼る」とはコースの中ほどを走るのが苦手な馬が「内ラチ」に沿って走ることをいいます。 |
落馬 [らくば] |
馬が躓いたり転倒したりして騎手が落ちてしまうこと。通常は競走中止となりますが、落馬した地点に戻って再び騎手が騎乗すればレースに復帰できるという規定もあります。これを「落馬再騎乗」といいます。 |
連闘 | 一度レースに出走した馬が翌週のレースにも続けて出走すること。好調子をキープしているときなどは、積極的に「連闘」することもあります。輸送のない滞在競馬の時などは疲労が少ない為か、例年、函館・札幌開催などで連闘馬の活躍が目立ちます。 |
ワ行
輪乗り [わのり] |
レース直前、ゲート後方に集合した馬が、枠入りの合図がかかるまで輪を描くように歩きながら待機すること。 |