ア行
当て馬 | 種付け前に、繁殖牝馬の発情が十分かどうかを試す為に牝馬に引き合わされる牡馬。牝馬の発情が充分でないと受胎率が下がるだけでなく、場合によっては牡馬を嫌って蹴る牝馬もいる為、種牡馬を守る目的もあります。試情馬。 |
アルファルファ | マメ科の牧草で、極めて栄養価の高い「牧草の王様」。ルーサンともいいます。和名は「ムラサキウマゴヤシ」。 |
育成牧場 | 生産ではなく、育成を業務とする牧場。大手生産牧場が育成部門として持っているもの、生産者が共同で運営するもの、育成業者が預託を受けて育成するものなどがあります。入厩前の馴致(じゅんち)・育成のほか、休養馬の放牧・調教にも使われます。 |
イタリアン ライグラス |
イネ科の牧草。厩舎で青草として与えることが多いです。 |
乳母 [うば] |
仔馬の中には生後まもなく母馬を失うものや、母馬が育児を放棄してしまう場合があります。こうした仔馬には乳母がつけられることになります。理想は間近に出産したけれど仔を失った牝馬ですが、状況的には難しい為、人間が乳母役を務めることもあります。 |
追い運動 | 若馬を成馬に乗った人が追うことで、若馬の基礎体力を作る運動。当歳の11月頃から行われます。 |
覆い馬場 [おおいばば] |
屋根付きの馬場のこと。天候に左右されることなく、冬場、雪の多い土地でも充分な調教が行えます。 |
オーチャード | イネ科の牧草。オーチャードグラス。乾草としてよく使われます。 |
オーナー ブリーダー |
自分が馬主として走らせるために競走馬を生産する生産者。メジロ牧場、バンブー牧場などが有名です。これに対して馬主に馬を売却する為に競走馬を生産する生産者をマーケットブリーダーといいます。 |
お台 | せり市で売り主がつける最低価格。この価格からせりが開始されます。 |
カ行
竈馬 [かまどうま] |
活躍馬を出して牧場経営の屋台骨を支えた繁殖牝馬を俗に「竈馬/かまどうま」といいます。 |
基礎牝馬 [きそひんば] |
牧場の牝系を築く基礎となった繁殖牝馬。竈馬に似ていますが、必ずしも一致はしません。基礎牝馬と呼ばれるようになるには、自身だけでなく仔や孫も同様に良い繁殖成績を上げなければなりません。(そうでないと牝系としては残らない為) |
軽種馬育成 調教センター |
軽種馬生産の振興を目的に設立された公益法人ですが、通常は同法人の北海道浦河町にある育成・調教場を指します。略称「BTC」。広大な土地に800m/1600mのトラックや、1200m/1600mの直線コースなどがあり、また、屋内施設として1000mの直線ウッドチップコース、600m/700m坂路などを備えています。 |
ケンタッキー ブルーグラス |
イネ科の牧草で、放牧地用牧草として用いられています。その名の通り、アメリカ・ケンタッキーでは最もポピュラーな牧草。マット層を形成する為、放牧地を駆ける馬の四肢にも優しいです。 |
仔分け [こわけ] |
繁殖牝馬を生産者に預託するときの形態のひとつで、できた仔馬を繁殖牝馬の所有者と生産者の共有物として売却代金を一定割合で分け合う制度。仔馬を所有者自身が競馬に使う場合には、評価価格のうちの一定割合を生産者に払うケースが多いです。また、隔年で所有者と生産者が権利を分け合う場合もあります。 |
サ行
自家用車 | 生産者が自分名義で競馬に使う馬を指して、俗に自家用車といいいます。将来繁殖として牧場に残す牝馬などを自家用車にするケースが多いです。 |
下売り [したうり] |
セリで売却できなかった馬を、セリ終了後に対面の交渉で売ることを俗に「下売り」といいます。たいてい売却価格はお台価格より安くなります。逆に言えば、お台価格より安く馬を買う為の方法です。 |
シャトル スタリオン |
北半球と南半球では種付けシーズンがずれる為、(北半球の)春には北半球で、秋には南半球(南半球では春にあたります)に移動して種付けを行う種牡馬のことです。 |
自由購買馬 | 抽せん馬の場合、馬主がどの馬を所有することになるかは抽せんで決まりますが、これに対して馬主が自分で購入した馬を「自由購買馬」といいます。戦前は自由購買馬を呼馬(よびうま)、抽せん馬を各抽と呼びました。 |
種牡馬 [しゅぼば] |
繁殖に供する牡馬。種雄馬または種馬ともいいます。 |
馴致 [じゅんち] |
若馬に対する教育段階のひとつ。騎乗調教の前段階の教育のことをいいます。人に触られたり、鞍を装着することに慣らしたり、騎乗者の命令を聞けるようにします。 |
シンジケート | 種牡馬を所有する形態のひとつ。種牡馬の所有権をおおむね30〜60の株に分割するもので、1株につき毎年1頭ないし2頭の種付け権を得られます。株の所有者が株自体又は単年の種付け権利を第三者に売ることもあります。高額の種牡馬を所有する場合に多く取られる形態です。 |
生産牧場 | 生産を目的とする牧場。一般に単に「牧場」といった場合には生産牧場を指す場合が多いです。サラブレットの産地というと北海道をすぐ思い浮かべますが、青森・岩手・宮城・福島・栃木・千葉・宮崎・鹿児島なども古くからの生産地です。それでも全国の生産頭数のおよそ8割を北海道日高地区が占めます。 |
セリ | 馬を売買する市場。当歳が売買される当歳セールをはじめ、1歳セール、2歳トレーニングセール、また、繁殖牝馬が売買される繁殖セールなど、さまざまなセリ市が開催されます。 |
セレクトセール | 一般名詞としては上場馬を選抜した上で行うセリ市ですが、日本では日本競走馬協会が主催するセールとしての固有名詞の方が通りがよくなっています。日本競走馬協会のセレクトセールは、社台グループをはじめとした日本を代表する生産者から多くの良血馬が上場され、それらが高額で取引されることで毎年話題になる、日本を代表するセリ市場となっています。 |
タ行
種付け [たねつけ] |
成績、血統の良い牡馬を種牡馬として、繁殖牝馬に交配すること。 |
種付料 [たねつけりょう] |
種付けにあたって、繁殖牝馬の所有者が種牡馬の所有者に支払う料金。当然優秀な種牡馬は種付料も高くなります。基本的に種付料は牝馬が受胎するかどうかにかかわらず設定されていますが、最近は繁殖牝馬側のリスクヘッジの為、受胎確認後の支払いでよいなどの条件がつくものが増えてきています。 |
ティモシー | イネ科の牧草。穂が猫の尻尾に似ている為キャッツテールとも呼ばれます。寒さに強く、栄養価も高い上に、馬の嗜好性も高いです。 |
とねっ仔 [とねっこ] |
当歳の仔馬を俗に「とねっ仔」と呼びます。馬の年齢の数え方は人間と違い、生まれてからその年の12月31日までを当歳といい、翌1月1日からの1年間を1歳、次いで2歳、3歳・・・と数えます。したがって当歳の期間は1年未満となり、その馬によって異なります。 ※日本では平成12年まで当歳、2歳、3歳と・・・と数え年で数えていましたが、平成13年より欧米と同じ数え方に統一されました。 |
ドライビング | 馴致のひとつ。人は乗らずに、長い手綱をつけて馬を歩かせ、口向きをつくる訓練です。右の手綱を引いたら右に曲がる等、教えていきます。 |
トレーニング セール |
競走に出走できる直前までトレーニングをすませた2歳馬を売買するセール。トレーニングができている為、競争能力を正確に把握しやすく、競走年齢に達するまでの事故などのリスクが回避できる等のメリットがあります。アメリカのバレッツ、ファシグティプトンなどのトレーニングセールで買われた馬が日本でも大活躍をして脚光を浴びました。現在では、日本でもトレーニングセールが行われています。 |
ナ行
日本軽種馬協会 [にほんけいしゅば きょうかい] |
全国の軽種馬生産者が加入する社会法人。6箇所の種馬場を運営し、JRAから無償譲渡を受けたり、協会で購買した所有種牡馬を協会員に安価で提供するなど、生産・育成の振興を行っています。また、牧場とファンの橋渡しになる「競走馬のふるさと案内所」も運営しています。 |
庭先取引 [にわさきとりひき] |
セリ市場での売買に対して、生産者と馬主との直接交渉での売買を「庭先取引」といいます。馬主、代理人、調教師が牧場を訪れて、牧場の庭先で交渉することから、こう呼ばれます。日本ではいまだにこの取引形態が多いのですが、取引価格が不明瞭などの問題点も指摘されています。 |
主取り [ぬしどり] |
セリ市場でお台で声がかからなかった場合には、売主が引き取るという意味で主取りと呼ばれます。 |
ハ行
繁殖牝馬 [はんしょくひんば] |
仔馬を生産する為に飼養されている牝馬。肌馬ともいいます。 |
ピンフッカー | 1歳で購買した若馬にトレーニングを施して、2歳トレーニングセールで売却する業者のこと。 |
放牧 [ほうぼく] |
馬を牧柵内に放し飼いにすること。放牧は若馬にとって基本的な運動です。通常、放牧は朝、馬房から放牧場に出して夕方に戻しますが、夏場などは夜も引き続いて放牧することもあります。これを昼夜放牧といいます。昼夜放牧の目的は放牧時間を長くして、より多くの運動量を確保しようというものです。 |
ヤ行
余勢 [よせい] |
シンジケート種牡馬の株に割り当てられた以外の種付け権利。この余勢種付けの種付料で種牡馬の飼養料や、シンジケートの運営費を賄います。 |
預託 [よたく] |
繁殖牝馬の所有者が、一定の預託料を支払って牝馬を牧場に預けること。生産者には預託料収入があるため、仔分けの場合と異なり、仔馬に対する生産者の権利は発生しません。 |
ラ行
ランジング | 馴致法のひとつ。円形の馬場の中央に人が立ち、手綱を繋いだ若馬を馬場の中でグルグル回らせます。馬に対して「動け」「止まれ」といった命令を覚えさせる訓練です。 |
離乳 [りにゅう] |
仔馬は生まれてしばらくは母馬と同じ放牧場に放されますが、生後半年ほどで母馬と離し、仔馬だけの集団で放牧されることになります。これを「離乳」といいます。 |